PPPoEによるインターネット接続について
NTTのBフレッツ、フレッツADSL等の「ブロードバンド」系サービスでは、PPPoEと呼ばれるプロトコルが広く使用されている。
本ページでは、AR550S, AR560S, AR415S, AR260S等のアライドテレシス製ARシリーズルータを、PPPoE認証によってインターネットに接続するための設定方法について解説する。
VPNルータとして使用する場合でも、まずPPPoEの設定が必要であるので、VPN設定の前に本ページの設定を行わなければならない。
LANをインターネットに接続する上で、まず考えなければならないことがセキュリティである。すなわち、外部から内部へのアクセスは完全に遮断しつつ、内部から外部へのアクセスを確保しなければならないというである。
アライドテレシス製ARシリーズルータにはファイアウォール機能が備わっているため、このアクセス制御を自由に設定することができる。
また、ARシリーズのルータにはDHCPサーバ機能とDNSリレー機能がある。この機能を使えば、パソコン側では「IPアドレスを自動的に取得する」に設定するだけでよい。
具体的な設定手順を以下に示す。
1.WAN側の設定
まず以下のコマンドにより、WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にPPPインターフェース「PPP0」を作成する。
create ppp=0 over=eth0-any |
overパラメータにより、PPPインターフェースを作成するWAN側ポートを指定する。
anyと書かれている部分は、PPPoEサービス名を指定する場所である。ISPによってPPPoEサービス名が指定されている場合はこの部分に設定するが、通常はどのサービス名でも受け入れるようにanyを設定する。
このように、1つのパラメータにポートとサービス名の2つを同時に指定しなければならない点に注意が必要である。
次に、PPPインターフェース「PPP0」に対して、ISPとの認証時に送信するユーザIDとパスワード等を設定する。
set ppp=0 bap=off iprequest=on username=(ISPから指定されたID) password=(ISPから指定されたパスワード) |
bapパラメータは、ISDNのマルチリンク接続(64kbpsを2本束ねて128kbpsとして使用する)のためのパラメータである。デフォルトでonになっているので、明示的にoffに設定する必要がある。
iprequestは、ユーザ認証時にISP側からIPアドレスの割り当てを受けるための設定である。デフォルトはoffになっているので、動的IPアドレスの場合や、インタフェース「PPP0」にアドレスを設定しない場合には、onに設定する必要がある。
ここまでの設定で、とりあえずPPP接続は可能になるが、接続状態監視のために以下のリンク監視設定を行った方が良い。
set ppp=0 lqr=off echo=on |
LQR(Link Quality Report)は、リンク状態の統計値情報を管理するためのプロトコルであり、初期状態ではonになっているが、フレッツでは対応していないため、offに設定する必要がある。
その代わりに、LCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するように設定する。
LCP Echoは、初期状態では10秒間隔で送信されるが、送信間隔はもう少し長くしても良いかと考える。onの代わりに数字を設定すると、送信間隔を秒単位で指定することができる。
また、3回連続でEcho Replyが戻ってこなかった場合、リンクがダウンしたと判断される。
2.LAN側の設定
ルータのIPモジュールを有効にした上で、WAN側(ppp0)インターフェースに、仮のIPアドレス「0.0.0.0」を設定する。その上で、ISPから割り当てられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定を行う。
enable ip
add ip int=ppp0 ip=0.0.0.0
enable ip remoteassign |
次に、LAN側のIPアドレスを設定する。
add ip int=vlan1 ip=192.168.10.1 mask=255.255.255.0
add ip route=0.0.0.0 int=ppp0 nexthop=0.0.0.0 |
上の例では、LAN側(vlan1)のネットワークアドレスを192.168.10.0/24とし、スイッチに192.168.10.1を割り当てている。その上で、ISP側(PPPインターフェース)がデフォルトルートとなるように設定している。
その2へ続く
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