1. VLANの作成及びポートの割り当て
アライドテレシスの各機種で、VLAN機能(ポートVLAN)を使用するには、以下のコマンド例のように、VLANを作成した上で、ポートを割り当てるようにする。
AlliedWare Plus搭載機種(AT-xシリーズ)の場合
特権EXECモードからconfigure terminal でグローバルコンフィグモードに移行後
vlan database
vlan 2
exit
interface port1.0.1-1.0.8
switchport access vlan 2
exit
|
旧機種の場合
create vlan=vlan2 vid=2
add vlan=2 port=1-8
|
上の例では、「vlan2」を、vlan ID = 2で作成した上で、ポート1〜8に割り当てている。
解説
スイッチの初期状態では、すべてのポートがVLAN「default」(vlan ID = 1)に所属している。
AT-xシリーズの場合はVLAN名の設定は任意だが、旧機種の場合はVLAN名の設定は必須であり、半角英数字とアンダースコア、ハイフンからなる1〜32文字の任意の文字列を
設定しなければならない。但し予約語である「default」「ALL」と数字だけの文字列は使用できない。
なお、設定例のように、“vlan”+“数字”のような形式の名前を付ける場合、数字部分はVLANIDと一致してなければならない。
VLAN IDには、2〜4094の数字を指定する。タグVLANを使用する場合は、このVLAN
IDが802.1Qタグ内に収容されて、他スイッチとのやりとりが行われる。
なお、ポートVLANのみ使用する場合でも、VLAN IDは省略できない。
vlan database あるいは create vlanコマンドでVLANを作成したら、続いてポートへのVLAN割り当てを行う。
AT-xシリーズの場合は、ポート番号は1.0.1のように、ピリオドで区切られた3つの数字で指定する。最初の2つの数字は、スタック接続や拡張モジュールを使用しない限り常に1.0となる。
最後の数字が実際に使用するポート番号となる。
ポートを指定する際、interface port1.0.1-port1.0.2,port1.0.4のように、ハイフンを使用した範囲指定や、カンマを使った複数指定も可能。
Catalystスイッチのように interface の後に range オプションを付ける必要はない。
旧機種の場合、add vlan=xxでVLANパラメータを指定することになるが、ここにはVLAN ID(数字)とVLAN名のどちらも使用できる。
portパラメータにより、VLANを設定するポートの指定を行う。例のような範囲指定の他、port=1-3,5,8-9のように、カンマで区切った複数同時指定も可能である。
add vlanコマンドにより、指定したポートが、VLAN defaultから、指定されたVLANに変更される。
なお、9424T/SPに限り、なぜかポート指定パラメータを、ports=1-3のように、sの入った複数形で指定することになっている。(但しsを忘れても自動補完される)
なお、既にdefault VLAN以外の他のVLANに所属しているポートに対してadd vlanコマンドを実行した場合は、エラーとなる。(詳細は
次ページで述べる)
VLANを複数個作成する場合は、VLANの作成とポートへの割り当てコマンドを、必要な回数だけ繰り返して実行する。
2. タグVLANの割り当て
802.1Q VLANタグにより、1つのポートから複数のVLANが入出力できるようにするには、VLAN作成後、以下の例のように、タグ付きポートの設定を行う。
AlliedWare Plus搭載機種(AT-xシリーズ)の場合
interface port1.0.16
switchport mode trunk
switchport trunk allowed vlan add 2,3,4
|
旧機種の場合
add vlan=2 port=16 frame=tagged
add vlan=3 port=16 frame=tagged
add vlan=4 port=16 frame=tagged |
上の例では、ポート16から、VLAN 2,3,4が入出力できるようになる。
このように、ポートに対してVLANを追加しない限り、そのVLANはポートから出力されない点が、Catalystスイッチとの大きな違いとなっている。(参考ページ:
Catalystと比較したVLAN設定方法)
AT-xシリーズの場合、switchport trunk allowed vlan allと指定すれば、全てのVLANが入出力できる
旧機種の場合は add vlan=allは指定できず、add vlanコマンドをVLANの数だけ繰り返し実行する必要がある。
なお、802.1QのVLANタグが付与されたフレームは、通常のLANカードでは認識することができないが、インテル製のPWLA8391GTのような
一部のハイエンドLANカードには802.1Qタグに対応しているものがあり、VLANタグが付与されたフレームを直接PCやサーバで扱うことができる。
インテル PWLA8391GT デスクトツプアダプタ PWLA8391GT
また、タグVLAN設定されたポートで、特定のVLANのみuntagged(802.1Q
VLANタグを付与しない)で出力したい場合(Cisco Catalystで言うところのネイティブVLAN)は、以下のように設定する。
frameパラメータを付与せずに、あるいは
frame=untaggedを指定してadd
vlanコマンドを実行すればよい。
AlliedWare Plus搭載機種(AT-xシリーズ)の場合
interface port1.0.16
switchport trunk native vlan5
|
旧機種の場合
add vlan=5 port=16 frame=untagged
|
上の例では、ポート16から、VLAN 5がタグ無しで入出力できるようになる。
なお、タグ付きポートの設定を行った後でも、そのポートはuntaggedでVLAN 1(default VLAN)に所属しており(default VLANがネイティブVLANになっている)、セキュリティその他の問題を引き起こす場合がある。
タグVLAN専用ポートにするには、以下のコマンドを実行すればよい。
AlliedWare Plus搭載機種(AT-xシリーズ)の場合
interface port1.0.16
switchport trunk native vlan none
|
旧機種の場合
delete vlan=default port=16 |
旧機種の場合、タグVLAN設定されたポートで、delete vlan=defaultを実行すると、自動的にコンフィグファイルにset switch port=xx
acceptable=vlanが追加され、 VLANタグ付きフレームのみ受信可能となるように設定される。
ポートVLAN(ポートベースVLANとも言う)は、VLANの基本形である。
レイヤ2スイッチではあまり意味がないとも考えられるが、レイヤ3スイッチでは利用価値が高い。
ポートベースVLANでは、スイッチの各ポートにVLAN IDを設定する。VLAN IDが異なると通信が遮断される。
1台のスイッチを、あたかも複数のスイッチであるように分割して使用するイメージで考えると良い。
レイヤ2スイッチでは高価なVLAN機能のあるスイッチを1台用意するより、安価なVLAN機能の無いスイッチを複数台用意する方が安価である。
さらに、ポートベースVLANでは、外から見た限りでは、どのポート同志が通信可能であるか分からないので、不用意に設定すると、管理が困難になってしまう。
このような理由から、別ページで述べるタグVLAN、マルチプルVLANに発展させて始めてポートベースVLANは意味を持ってくる。
なおレイヤ3スイッチでは「VLAN間ルーティング」によるルーティングを行うことで、異なるVLAN間での通信を行い、セグメント分割に対応することができる。
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