OSPFについて
OSPF(Open Shortest Path First)とは、RIPと同様に、ルーティング機能をもったネットワーク機器間で、経路情報等を交換するためのプロトコルである。
RIPと比較して、ネットワーク変更時の収束時間が短い、負荷分散が可能であるといった特徴があるため、冗長経路がある場合に最適である。
OSPFの機能を利用し、例えば普段は負荷分散を行い、障害発生時にすばやく自動的に残った経路への切替を行う動作が可能となる。
但しOSPFは高機能であるが故、実装がハイエンドの機器に限られてしまう傾向がある。
幸いにもアライドテレシスのネットワーク機器では、機能を省略した一部のL3スイッチを除き、ほとんどのL3スイッチにOSPF機能が実装されている。
OSPFには多数の専門用語があり、設定するパラメータも多いが、このページでは必要最小限の設定について紹介する。
OSPFの設定方法
ここでは、OSPFを使用する上で、最も一般的な設定である、L3スイッチに設定された経路情報を、スイッチ間で交換するための設定方法を解説する。
- 1.OSPFのパラメータ設定
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まず、router ospfコマンドにより、OSPFルーティングプロセスを起動し、OSPF設定モードに移行する。
続いて、ospf router-idコマンドにより、ルータIDの設定を行うことになるが、IDはIPアドレスと同じ形式で表すため、最初は何を設定すればよいか戸惑うであろう。
しかし実際はOSPF上で相手を特定するために使用するものなので、IPアドレスとは直接関係せず、他のスイッチと重ならなければ、何を設定しても良いものである。
routeridパラメータを省略した場合は、スイッチのVLANインターフェースに設定したIPアドレスのうちもっとも大きなものが自動的にルーターIDとして使用される。
ただ、自動設定されたIDでは、後で動作確認するときに問題を特定しづらくなるため、手動設定をすることが望ましい。
IDの決定方法であるが、WAN側(L3スイッチ同士を接続するネットワーク側)のIPアドレスを元に設定すると、後で見直すときに楽だが、そのようにIPアドレスをそのまま利用す
ると混乱の元になるため、第4オクテットのみIPアドレスを流用し、他は別の数字(例えば1.1.1.200のように)を使用するのが良いと考える。
具体的な設定例は以下の通り。
router ospf
ospf router-id 1.1.1.200 |
- 2.バックボーンエリアの設定
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次に、バックボーンエリアに所属するネットワークの定義を行う。
OSPFネットワークには必ず「バックボーンエリア」というエリアを1つ設定する必要がある。
このバックボーンエリアは、OSPFのエリアを階層構造で作成したときに中心となるエリアで、他の全てのエリアがこのバックボーンエリアに接続されることとなる。
OSPFのエリアを複数作成せず、他のOSPFネットワークとも直接接続しない場合には、バックボーンエリアの設定のみ行い、OSPF接続される全てのL3スイッチと
ルータをバックボーンエリアに所属するように設定すればよい。
具体的な設定例は以下の通り。
network 192.168.254.0 area 0
|
上記の例は、OSPF側ネットワークのIPアドレスが192.168.254.0/255.255.255.0の場合の設定例である。
バックボーンエリアでは、上記の例のように、areaの後の数字で0を指定する。
なお、冗長化によりOSPF側ネットワークが複数存在する場合は、上記設定をOSPF側ネットワークの数だけ行う必要がある。
- 3.ルーティング情報通知設定
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例えばWAN側のみOSPFを使用し、L3スイッチでLANとWANを接続する場合のように、L3スイッチを用いてOSPF対象ネットワークと非対象ネットワークを接続する場合、
そのL3スイッチにはASBR(Autonomous System Boundary Router : AS境界ルーター)としての設定が必要となる。
ASBRでは以下のように、redistribute connected コマンドにより、スイッチに設定されたVLAN上にあるネットワーク情報を他スイッチに通知するように設定を行う。
さらに、redistribute static コマンドにより、スイッチに設定されたスタティックルーティング情報を他スイッチに通知するように設定を行う。
この設定を行わない場合、スイッチに設定されたルーティング情報であっても、OSPFで他スイッチに通知されないので、注意が必要である。
redistribute connected
redistribute static |
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